第107回 第109回

随想第108回

株式会社ブレイン 鈴木 英信 未だに新型コロナ下(禍)の毎日。
							会いたい場所で会えないあの顔、あの時を想う。 株式会社ブレイン
代表取締役社長 鈴木 英信

その昔に「広告マン」を志してから40年近くになりました。広告代理店にあってこれまでさまざまなお客様の販売促進や社会との関係づくりをサポートしてまいりました。その間10年ごとに、差別化へ、顧客志向へ、ブランディングへと常にマーケティングの概念がバージョンアップしたとともに、3G、4G、5Gへと進化した通信システムとデバイス、個人にアプローチするWebマーケティングの展開手法も加わり、広告ビジネスが様変わりしました。

インターネットが世帯全体に普及しておよそ20年、ネット広告の取扱高は既存のマスメディアを次々に追い抜いて2019年には遂にメディアの王様テレビ広告を抜きました。それまでテレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス広告販売を是としてきた私たち広告代理店も、ネット、デジタル分野こそが次代の柱になると早くから政策転換に取り組みましたが、むしろベテランの私などは、文系体育会系から理系文化団体に転入するかように、新ジェネレーションの仕事文化の違いと新語のオンパレードで大分戸惑いました。

今私はマネジメント中心となり、15秒のCMや一枚の新聞広告づくりにクリエイターたちと口角泡を飛ばし、またはお客様に叱られながらも奮闘したのも今は昔となりましたが、時に企画の現場に口を出してみれば、長幼の序の気遣いとか、私の「広告マン」的ひらめきなどはお構いなしに流され、若いメンバー達によってデータを読みながらスプレットシートに乗ってそのミッションが粛々と進められています。頼もしくもあり、やや悔しくもありです。

さて、新人の頃より「気遣いとお客様への献身的な価値提案を信条に」とずっと教えられ、自身も心がけてきましたが、私の周りのビジネスの諸先輩、同輩には華やかで男芸者の面目躍如といった素敵な方々が多くいます。仕立ての良いスーツにシャツ、靴、粋な話題、賢いダジャレ・・。同席した行きつけの酒場でのオーナーとのやりとりなどは昼間の何倍も濃い刺激と学びの場であって、身近な方々ばかりでなく、名も知らぬ諸先輩方の根っからスマートなふるまいや言葉づかいも夜の匂いと共に深く心に残っています。新型コロナ禍で行動自粛せざるを得ない中、そんな方々とも最近は偶然会うこともめったになくなり、送別会もそこそこに会えなくなった方もたくさんいて、とても寂しく思います。ここにきてようやく街を取り戻してきたかと思った矢先の第7波。なんとも言えない気持ちでノスタルジックにもなるこの頃。皆さんのビジネスと日常の健康を願ってやみません。

次回は株式会社IOS―インターネット・オフィス仙台 代表取締役社長 中鉢 貴省 様