第17回 第19回

随想第18回

大崎 博之 絆と誇り 多賀城工場地帯連絡協議会会長
(ソニー㈱仙台テクノロジーセンター代表)
大崎 博之氏

多賀城の工場地帯も、東日本大震災の津波に見舞われ、大きな被害を受けました。私の前任者である伊藤努さん(第17回を執筆)を中心に、多賀城の工場地帯にある協議会会員団体がまとまり、行政等々から様々なご支援を頂きながら、何とか復旧・復興が進んでいます。震災前は、工場地帯から多賀城駅に向かう途中には飲食街が軒を連ね、仕事で夜遅く帰る時も、多くの人で賑わっており、仕事で疲れた心が癒されたものですが、今では、飲食店が減り、以前よりは寂しくなりました。活気ある街づくりの為に、工場地帯も、さらに絆を深めて協力し、街の発展に寄与して行きたいと思っています。

東日本大震災の直後、仙台や東京の行きつけのバーの経営者の方々、常連仲間の方々から、心配や励ましの電話を頂きました。その際、電話口から、営業している店の様子が伝わり、自分だけが取り残されている気分(1か月以上、仙石線が不通で行けず)になると同時に、大いに元気をもらったのを思い出します。

先日終わったワールドカップでは、第一戦で敗れた後の日本チームのサポーターたちによるスタンドの清掃の様子が、英国紙や現地のブラジルのニュースで流れ、また世界中のネットで配信され、絶賛されました。まさに日本のサポーターの意識の高さとお互いの連帯感、サポーターと選手たちの信頼関係の為せる業と感じました。震災の直後、英国の経済誌「エコノミスト」などは、世界中のマスコミ同様、震災後の日本人の冷静な態度と助け合う姿勢を絶賛すると同時に、「日本という国は、震災や戦争などの大災害に会う度に、災害以前にも増して復興して来た。これからの日本は再び侮れない存在になるだろう」とのコメントというか、日本に対するエールを掲載しました。日本人としては、何とも嬉しくなる誇らしい記事でありました。今回の日本チーム・サポーターに関する報道を見て、嬉しさが甦り、その日、仙台の馴染みの店では、エールと報道に対するせめてもの恩返しにと、いつものアイリッシュ・ウィスキーから、ロンドン・ジンとスコッチ・ウィスキーに切り替えて、より一層の復興努力を心に誓いながら、心地よい酔いを満喫しました。

次回は、東北大学名誉教授 川添 良幸氏