第21回 第23回

随想第22回

佐藤勘三郎 仙台にカジノは必要か 株式会社ホテル佐勘 代表取締役社長 佐藤勘三郎

東北福祉大学の専任講師となり10年を超える日々が過ぎようとしております。テーマは私の仕事柄、観光についてのお話が多いのですがそこは素人の教育者の悲しさ、様々な方面に話は飛んでしまいます。

今年の授業のメインテーマはIR(統合型リゾート)。これはすごく簡単に言ってしまうとカジノを中心とした総合レジャー施設、ということです。もう少し丁寧に言うと、カジノにホテルや国際会議場、スポーツ施設を併設したものです。実はこれを推進する「統合型リゾート整備推進法案」という議員立法が提出され今国会で制定されるはずでしたが、御存知の通りの「まさか」の衆議院解散により見送られることになりました。

何故これが授業になるかというと、秋口になり宮城県議会の方々からこのIRの誘致要請運動が沸き起こってきたからです。「もしかすると宮城県にカジノができるかもしれない」という身近な問題は、学生にとって非常にビビットに政治を感じられるテーマだからです。

「仙台にカジノは必要か」予想通り、学生間の議論は沸騰しました。米国のラスベガスをイメージさせながら、メリット・デメリットを提示しIRの本質はどこにあるのか等の授業をした上で学生間にチームを組み討議をしてもらいました。ちなみに一番大きなメリットは雇用創出から始まる地方創生、ひいては宮城県では復興資金の捻出です。ラスベガスにおいては、ネバダ州の人口の6.5%に当たる175,000人の雇用を生み出しています。逆にデメリットは犯罪や不法行為の増加による社会的コストの増加です。病的なギャンブラーによる借金問題や自殺、違法行為など負の側面も大きいものがあります。

さて議論の結果ですが、やはり平和と協調を是とするイマドキの学生らしく「仙台の街にカジノは似合わない=いらない」というものでした。地方の税収不足の決定打になるかもしれないよ、と水を向けたのですが全く興味を引きません。彼ら彼女らにとってのカジノには「悪」のイメージが刷り込まれ、少々のことでは動じないのかもしれません。もちろん仮定の話ですから正解・不正解はないのですが、なかなか興味深い問題です。

さて、皆さんならどうお考えになるでしょうか。

次回は、江陽グランドホテル 常務 後藤道博氏