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随想 絆 第3回

相沢 光哉 いのちを守る森の防潮堤を築こう! 宮城県議員  相沢 光哉

未曽有の東日本大震災から早二年が過ぎました。

宮城県は、大津波で犠牲になった被害者が多く、死者・行方不明者が約一万八千人を数えます。社交飲食生活衛生同業組合の仲間の方々が、数多く尊い命を失われたことも、大変悔やまれます。

国も県も復興に全力を挙げていますが、沿岸部は約1メートル地盤沈下したために、護岸工事や漁港整備がままならず、復興のテンポは決して順調ではありません。

そんな中で、急ピッチで進められているのがコンクリート製海岸堤防の建設です。高さは最低でも7.2メートル、天頂部の幅約4メートル、底辺約40メートルという巨大な建造物で、基本的に本県の太平洋岸に万里の長城の如く築かれます。

大津波の恐怖の記録も新しい今日、海岸線をしっかり防御することは大切ですが、景観や環境や海兵での生活・レジャーに、大きな障害物となる人工構造物を配置してしまうことは、後世の人々に本当に役立つのかどうか、極めて疑問です。

田老町や陸前高田市の大堤防ですら巨大津波に全く無力だったことから、通常の津波対策としてはともかく、今回の大惨事の教訓を生かしているとはとても思えません。

また、山・里・海の連環で成り立つ海の生き物の生態学的見地からも、地下水の流れや海岸部の自然環境に甚大な影響を与えかねない巨大遮蔽物の建設は、環境影響評価をすべきですが、海岸堤防や河川堤防は対象事業に採用していないとの理由で、今後全国的に展開される「世紀の大工事」に、全く科学的チェックが働かないのは大変恐ろしい事態です。

宮城県議会では、昨年3月に59人の議員全員で、超堂派の「いのちを守る森の防潮堤推進議員連盟」(会長相沢光哉)を立ち上げました。膨大な震災ガレキを埋め、土をかぶせて小高いマウンドを築き、常緑広葉樹の苗木を植え、10年20年で大きな森の防潮堤をつくるという構想です。提唱者は横浜国大名誉教授の宮脇昭先生です。

当初、中央省庁や法律の壁は防潮堤の壁より厚かったのですが、ここに来てようやく進展の兆しが見えました。コンクリートと森を一体的に整備するハイブリット工法の実現です。皆さんもぜひご支援ください。


次回は、仙台市議会議員 佐々木両道氏