第34回 第36回

随想第35回

一條一平 600年もの間脈々と続いてきたこの歴史を繋ぐ使命で人気の宿に 鎌先温泉 時音の宿 湯主一條 20代目 一條一平

前回の紺野様からのバトンを引き継いで、第35回の「絆」に投稿できますことに、感謝いたします。鎌先温泉は県南の白石市にございます。

一人の農夫が鎌の先で岩角をかき分けたところ、もくもくと白煙を噴きながら温泉がわいたと言い伝えられており、それが温泉地名の由来となっています。

当館のコンセプトは「タイムトリップ」。テーマは「森」です。

ようこそ、一條の森へ・・・・

一條の森では、旅する人々をこんなストーリーで待っています!情緒ある温泉街の坂道を登ると「一條の森」が目の前に現れます。あなたは、一條の森に迷い込んだ映画の主人公です。そこでいろんな体験をして下さい。館内は森の中。森の中をさ迷い歩くと、森林浴のできる露天風呂があったり、又さ迷い歩くと600年前からこんこんと自噴している「傷に効く」と言われた薬湯を楽しんだり、お楽しみの食事の時は、時の橋を渡って大正時代にタイムトリップ!!個室が幾つも並んだ料亭では、「森の晩餐」が繰り広げられます。大正時代の東北の素朴で親切な一條の森の人々の優しさに触れ、小さな感動を幾つも体験し、映画を見終わった時の様な、優しい気持ちになって坂を下って、現代へお帰りになってください。

私が世代交代したのは34歳のことです。1999年に東京から戻りさあこれからという時の2003年に19代目の父が急逝。経営のいろはも判らぬままの世代交代。しかし任されたからには頑張らねばなりません。

湯治客の少なくなった本館をお洒落な個室料亭に変え、お客様目線で客室備品を揃え、お客様のアンケートに耳を傾け、都度改善し続け、2008年7月には全館総リニューアルをし、今では人気の宿と言われるようにまでなりました。

そして世代交代してから延び延びになっていた襲名も、2014年3月に裁判所からの許可書を持って一條一平へと改名し、正真正銘20代目をつぐこととなりました。私には脈々と続いてきたこの歴史を繋ぐ使命があります。経営者ですから利益を追求するのはもちろんですが、長く続けていくことはもっと大切なことだと思います。次の世代へバトンを引き継ぐこと。大変大きな課題ですが、人とのご縁を大切にしながら、粛々と日々成すべきことに注力してまいりたいと思います。

次回は丸山株式会社 代表取締役専務 佐藤 永一氏