第35回 第37回

随想第36回

佐藤 永一 エネルギーを供給し続ける使命 丸山株式会社 代表取締役専務 佐藤 永一

丸山株式会社は、私の祖父が昭和33年に宮城県刈田郡蔵王町で創業し、本年で創業58年を迎えます。創業時は、青果・雑穀、肥料や畜産用飼料を卸販売する事業を展開し、その後、養豚事業、石油販売業へと拡大。現在では、北は北海道から、南は東京まで本社・事業所を構え、グループ企業10社となりました。

当社の事業コンセプトは、「エネルギー産業に特化」すること。当社の考えるエネルギーとは、自動車のガソリン、といったものだけではなく、人における食べ物(豚肉等)、泊まる、くつろぐ(ホテル事業)なども含みます。

創業来、一度も供給出来なかったことのない「エネルギー」が途切れかかったのが、あの「東日本大震災」。当社のガソリンスタンドにも長蛇の列、全社員一丸となって目の前のお客様に供給し続けました。皆様の見えないところで一番大変だったのが、当社農場で生産された豚の出荷です。5農場で年間7万頭を出荷する当社は、通常出荷する県内食肉市場が閉鎖となった約1ヶ月半の間、東京、新潟など施設的被害の少なかった食肉市場への出荷を余儀なくされ、風評被害もあり福島を経由することなく走行して出荷するように指示を受けたことは本当に辛い記憶です。

震災を経験し、より安定的なエネルギー供給のため、ガソリンスタンドにおけるローリー増車、地下タンク増設、自家発電装置の設置等実施しましたが、加えて養豚事業において、新ブランド設立と自社食肉加工場を新設しました。豚の新ブランドは、「JAPAN X」(ジャパンエックス)。地域ブランドという枠を超え、「日本のうまい豚」を作るというコンセプトで命名。一から品種、餌、肥育方法を見直し改良を重ねた結果、お取り扱い頂く店舗様での評判を聞きつけ、これまで数多く取材頂き、現在では都内有名ホテル等にも直接納入するに至っております。現在では、産直食肉センター(角田市)も新設し、生産から肉の加工・物流、販売も一元化(農業6次化)することで、お客様のニーズを直接把握し、美味しいお肉を直接お届けしています。

私たちの使命である「エネルギーを供給し続けること」、これからもあの日のことを忘れずに日々継続してまいります。

次回は株式会社坊源 専務取締役 原 太一郎氏