第91回 第93回

随想第92回

株式会社清月記 専務取締役 菅原 啓太 コロナ禍でのご葬儀 株式会社清月記
専務取締役 菅原 啓太

オリンピック・イヤーだと沸き立ちはじまった2020年。

しかし、世界で蔓延し始めた新型コロナウイルスが2月後半頃からじわじわと私たちの生活に黒い影を落とし始めました。タレントの志村けんさんが感染し、家族に看取られず荼毘にふされたことで、このウイルスの恐ろしさを知り日本中が震撼しました。私たちの葬祭業でも西日本の葬儀会場でクラスターが起こり、ご葬儀に参列することを自粛すべきという風潮も増えました。

少子化が進み、家族が少なくなっている現在、たくさんの人に送ってもらうのは今風ではないのかもしれませんが、こういう時期なので家族のみで葬儀を済ませましたという言葉が新聞の訃報欄に並ぶと感染リスク回避のためなら自粛も止む無しと思いつつも、故人を思い共に悲しみを分かち合う日本の伝統文化でもある「葬送」の文化が薄れていくようで悲しくなりました。

わが社では、ご家族の方が葬儀の後にもっとこうすればよかったと思わせない「後悔させないお葬式」を提案するようにしています。コロナ禍であっても感染対策をしっかり行い、換気や人と人との距離なども早くから意識した取り組みをして対応してきました。

しかし、法要などの食事の対応は、それぞれの方の思いも違っていて難しいものでした。あるご家族からはコロナ禍に来ていただいた方にお食事さえもだせないなんて、なんとかならないだろうかとご相談をいただきました。故人を思い、来ていただいた方への感謝の気持ちを安全に届ける方法はないだろうか。そして、生まれたのがお持ち帰り用のお弁当です。清月記には、飲食部門を担当する一乃庵.があります。法要や様々なコンベンションなどでの蓄積があり、その思いをカタチにしてご遺族の方から大変喜んでいただきました。

まだまだ終息が見えないコロナ禍ではありますが、人々の思いやる気持ちは変わらない、そしてそれは何ごとにも負けないと信じて、日々精進しております。

次回は株式会社登米ブラス 代表取締役 武山祐樹様