第72回 第74回

随想第73回

渡邉 亨 夫婦の休日倶楽部 有限会社 ワタナベ
渡邉 亨

 同居していた両親も亡くなり、子供達も結婚・独立すると家に残されたのは夫婦二人だけとなってしまいました。親や子供たちが居ればこそ様々な会話があり賑やかでしたが、二人だけの生活を送るにつれ、あの人が亡くなったとか冠婚葬祭以外に夫婦の会話がなくなってきて、食事の時もおいしいでもなくまずいでもなく、黙々と食べ、部屋に響くのは漬物を食べたときに響くカリカリという音だけ。

 これから先、どれくらいあるかわかりませんが長い老後を二人で過ごすのにこのままではマズイ、そのとき思い出したのが、友人が話していた○○東日本乗り放題の「大人の休日倶楽部」である。友人は毎年1回それを活用して夫婦であちこちに旅行をしているという話である。

 妻にその話をしたところ、元来旅行好きの妻はその日のうちに駅へ行き、大人の休日倶楽部の加入申し込み書をもらってきたので早速夫婦で加入。調べてみると乗り放題の期間は年3回であと2ヶ月後が1回目の実施期間でした。

丁度仕事も一息がつく時期であったのでそれを使い旅行をすることにしました。そうすると、会話のなかった夫婦が、いつ・どこに行くの?何を見るの?何を食べたい?と新婚のときのような会話がエンドレスで出てきます。

やっと決まった記念すべき第1回目のおでかけは、「スーパービュー踊り子号で行く伊豆下田の旅」である。スーパービュー踊り子号の指定席は、海側になるよう調べ上げるという念の入れよう。下田のペリーロードを散策し、旅館では名物キンメダイの煮付けを食べ、温泉につかり、正に命の洗濯をしてきました。自宅に帰れば旅行の思い出話と次回の企画で話が盛り上がる。

どこの夫婦も、漬物の音が響くかどうかは別にして自分達と同じだろうと思っていましたが、ちょっとしたきっかけで、夫婦共通の老後の楽しみができました。夫婦の休日倶楽部 お薦めですよ。あなたもいかがですか。

次回は株式会社くろしお 代表取締役 鈴木 雅博様