第118回 第120回

随想第119回

株式会社グロー・エイジング 取締役 長谷川 勇 「今日本当に来てよかった」と思っていただけるように 株式会社グロー・エイジング
取締役 長谷川 勇

「先生、日本の道路はとてもきれいです!」とベトナムの20代前半の彼が道路を撫でて驚いていました。
今から5年前、成田空港に技能実習生として来日してきた若者の一人です。その時の彼の表情は今でも目に焼きついています。
日本は今、人口減少社会と同時に2010年に「超高齢社会」(65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超えた社会)に突入し、現在1 億2500万人の日本の人口は、約80万人/年の減少が続き、2110年には5、000万人を切るだろうと予想されています。今から100年前の1915年は同じ人口規模だから良いかというと、そこには高齢化の問題が入っていません。人口減少は、必ず「高齢化」を伴います。1915年の日本は高齢化率5%の若々しい国でしたが、将来予想は高齢化率が40%台と世界でも稀にみる「年老いた国」へと向かっています。中でも生産年齢人口(15歳〜64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5、275万人(2021年から29・2%減)に減少すると見込まれています。
 私は外国人介護士の紹介、支援育成事業に取り組んでいます。とりわけ「介護」人材の不足は突出しており、どの法人さんも募集しても応募がないと施設運営に深刻な影響がでています。
その人材不足の担い手に外国の若い人たちがたくさん活躍しており、政府も推進政策として取組んでいます。一方、人材を送り出している国(主に東南アジア)では人材の輩出が社会課題として取組まれています。インドネシアでの視察では、その現実に衝撃を受けました。彼らの国の実際の平均寿命は60歳台です。日本では自立して家庭を持ち、社会経験から次の自分のキャリアを描ける年代です。彼らはその短い寿命をわだかまりなく、受け入れています。そして、若者たちは大卒でも働く場所がない、これが現実でした。
日本には外国人労働者の受け入れは移民につながると、反対する意見も少なくありません。でも、人口減少、超高齢社会がもたらす社会インパクトは避けて通れない現実です。人口減に適応して、経済成長とは無関係に豊かさを実感できる社会を目指したいです。
日本と世界を「循環する介護」の架け橋になれるようライフワークとして取り組んで参りたいです。ありがとうございました。

次回予定は……㈱Lily‘s tea 代表取締役 事務局長 柴田 麗麗様